3月の居場所
3月の初日は暑かった。
春を感じてしまって不快すぎる。
なんとなく掛け布団の上に体をうつ伏せに沈めてみた。
ひんやりとしていて気持ちがいい。
気持ちが良かった。
ちょっと幸せだとも思った。
こういうのって猫みたい?
と、ふと思った。
自分が快適に過ごせる場所を把握している。
少しでも不快に感じると場所を変える。
そう、とても簡単なこと。
そんな当たり前のことを布団に感じて驚くような私は、快か不快かも認識していないのか。
自信がなくなってくる。
だとすれば、自分の置き場所が分からない。分かっていないのかもしれない。
このまま、冷たい布団に深く沈んでいくと、海底の砂の上に変わっている。
海の上で何が起こっているのか分からない。いや、分かったとしても知らない振りをする。
私が知らない振りをしている事は誰も分からない。
海の底は暗くて怖い。だから目は閉じたまま。
そうか、深海魚はこうして目が退化していくのかもしれない。
そして変な形になって、透明になって、綺麗な色で発光するんだ。
私は暗い海底にて小さく発光していく。
光はやがて回り出す。
ここは私の場所。
〆